top of page

pikari

継承の一夜
 

カウンターアースでの一件が終わり、一か月ほどが経った。引き受けた子供や動物たちの引き取り先や住む場所の確保などであちこち走り回り、ようやくボロボロになっていた船を修理する余裕が出来たので内部を確認しながら取り寄せるパーツやらなんやらを見繕っていると後ろから声がした。振り返らずとも声で分かるので作業を続ける。


「ロケット、ボウイ号の様子はどんなもんだ?」
「壊れてるところは2週間、取り寄せ部品は今から見繕うから知らねえ」
「切り離した小型船までってなるとかなりの時間になるか」
「地球まで飛ぶくらいなら壊れてるところの修理だけでなんとかなる。……さっさと行きたいんだろ」
「……ああ」

作業したままクイルの返答を聞く。どういう流れでそうなったのかオレはあまり知らないが、地球に住む祖父のもとに行きたいと言うクイルの意志は固いようだった。祖父と一緒に過ごしたいという目的からしてそうだが、地球は宇宙よりよっぽど安全だと五年間の滞在で分かってもいるので心配することももあまりない。


「もし居なかったらすぐに戻ってくるさ」
「その場合でも数か月くらいゆっくりしてろよ、故郷なんだろ」
「別に故郷としての愛着は……というか迎えに来るのが面倒なんだな? それなら数日間位地球に居てくれてもいいだろ」
「地球はもう五年も居て飽きたからいい。それに地球に居たらネビュラから貰ったバッキーの腕返せって言ってくるかもしれねえしな」

「あれ盗品か!?」
「いや、知らねえけど」

出所が不明なので何があるか分からないなんて適当にぼかしておく。もしも祖父が死んでいてすぐチームに復帰したとした場合、クイルは今回のこともあって酒におぼれたりせず表面上は気丈に振る舞う可能性が有る。しかし、クイルにはガモーラのことや祖父のことを消化する時間が必要だろう。

「てなわけで一応アベンジャーズに連絡して多少の支援はしてもらうからどうなってもゆっくりしてこい。なんだっけあの、ケヴィン・ベーコンとかのライブも行って来いよ」
「本職ミュージシャンじゃないしそんなライブやってない。……言い出したのは俺だし、言葉に甘えさせてもらうが別に意味なくチームを離れたいわけじゃない。家族が此処にしかいないって分かったら出来る限り早く戻る」
「折角オレがリーダーやる気になってんだからそんな早く取り上げんなよな」

オレの言葉にクイルが黙ったので振り向くと少し寂しそうな表情をしていた。リーダーを降りることに対して何か思うところがあるようで安心する。それならばオレはあくまで仮のリーダーで居られる。

「……引継ぎの準備は順調か?」
「ぼちぼち。コスモもクラグリンもピートより強いから安泰だ」
「色男枠が居ないと苦労するぞ」
「そんな複数要るとも思えねえ枠だし、お前が戻ってきてその色男枠とやらが埋まってたら可哀想だから空けといてやる」
「そりゃ光栄だ」

そんな軽口を言い合うが、本当は自分がリーダーになるイメージなんて全く持っていない。オレに出来るのはこれまで背中を見てきたスターロードというヒーローの真似だけだ。しかし地球に行くクイルに不安を与える必要も無い。

「そんなわけで心配せずに行ってこい。二週間後出発できるよう荷物纏めておけよ」
「分かった。……最後の晩、サシで飲まないか?」
「全員でのちょっとした送別会は一応やる予定だぞ。別に言いたいことでもあんのか?」
「一応リーダーの継承式みたいなことをやりたいんだ」
「……まあいいけどよ」

そんな重い感じにされるとオレもリーダーとしての重圧を意識してしまう。オレにリーダーなんて似合わないのは分かっているし、その覚悟も足りていない。しかし、クイルが安心して地球に行くために必須というならやらざるを得ないので頷いておく。

「よし、それなら送別会の後、俺の部屋に来いよ」
「酒代はお前持ちな」
「俺の送別祝いってことならロケットだろ」
「いや、リーダーの継承式なら主役はオレだ、つまり金は出さない」

ニヤリと笑ってクイルの方を見ると言い返そうかどうか悩んでいる顔をしていた。こんなやりとりももうあと少しで無くなると思うと寂寥感がある。そしてクイルが折れたようでため息を一つつく。


「どうせユニットなんて持ってても地球じゃ使えないから使い果たすのもいいか」
「戻ってきて一文無しなの思い出したときのピートの顔が今から楽しみだ」
「そのときは復帰祝いで金せびるさ」
「お前と面識ない新メンバーが居たら第一印象最悪だな」
「新メンバーか、もし入ったらちゃんと偉大な先代リーダーの話はしとけよ」
「アスカヴァリア人と寝たテラ人の武勇伝なら伝えておくから安心しろよ」
「おい、それは俺だけじゃなくテラ人の印象も悪くなるだろうが。女の子には絶対言うなよ」
「オレが言わなくてもクラグリン辺りが言うだろ」

必死なクイルを適当にいなしながらそんなやりとりを続ける。今後新しいメンバーを加えることもあるかもしれない。元々が成り行きに身を任せているようなチームだったのでちゃんとした募集なんてしたことがない。ラヴェジャーズならそういう募集も掛けていたりしたのだろうか。

「ラヴェジャーズは新人募集とか掛けてたりしたのか?」
「いいや、ヨンドゥは名が売れてたから各地で活動中に付いていかせてくれみたいに勝手に増えてる感じだった。ヨンドゥは子供の誘拐の件で他のラヴェジャーズから干されてたが、それでも人員には困ってなかったな」
「そりゃあすげえな。オレ達なんて呼びかけても誰も来ねえだろ」
「いや、意外に来るんじゃないか。特にここノーウェアでなら絶大な知名度だろ」
「復興とか運営してる統治者って意味でな」
「それはまあ、確かに」

クイルも同意した通り、この星の所有者という肩書が強すぎてヒーローチームという元の姿が霞んでいる。しかし、ガーディアンズオブギャラクシーの名の通り、銀河を守護するのがオレ達なのだからいつまでもここに留まってはいられない。……ところでいつまでクイルはここに居るのか。出発日を知りたかっただけならもう用件はないはずだが。

「んで、いつまでもオレと話してていいのかよ」
「いいや、街の方に出てくる。ネビュラに色々引継ぎ頼まないとだからな」
「マニュアル作っておけよ。ネビュラにだけ押し付けてたら不在時に困る」
「それもそうだな。それならロケットも船修理のマニュアル作ってくれよ」
「……保護したガキたちはそれがありゃ色んなものを直せるかもな。あいつらもいつかは仕事するだろうし考えとく」

あのコロニー内に居た子供達は記憶力抜群で一度見たものは忘れないようだった。中には超能力染みた力を持っていた子供も居た。アイツから生み出されたという点で共通しているので何というか、遠い親戚位には気になっている。

「いつかガーディアンズに入る子も居たりしてな」
「一番若そうなマンティスが抜けて年齢高いクラグリンとコスモが入ったからもう老人会一歩手前だし、世代交代を考えたらアリだな」
「コスモが聞いたら怒るぞ。地球の女の子は歳について敏感なんだ」
「地球に5年居たがそんなの知らねえしコスモにも適用されんのかそれ。……まあいい、早く行ってやれよ」
「ああ、んじゃまたな」
「良い酒用意しておけよ」

手をひらつかせて去っていくクイルを見送る。5年間家族を失っていたことを思えば今回の里帰りなんて大したことではない。しかし突然ではない別れなんて久しくすることがなかったのでなんとなく心がざわつく感じがした。クイルは本当に戻ってくるのだろうか。そもそも一度日常に戻った男をまた戦いに駆り出すのは正しいことなのだろうか、そんな不安がオレの頭の中を巡って、離れてくれそうもなかった。


それから二週間後、クイルの送別会が終わり片付けもひと段落した後にクイルの部屋に行くと整理したのかそれなりに片付けられており、テーブルの上に一本上等そうな酒とグラスが一つだけ置いてあった。二人で向かい合って椅子に掛けるとクイルが上機嫌で酒を開け始める。

「送別会凄く良かったぞ。ちょっとしたって言ってたから控えめだと思ってたのに一体いつ準備してたんだ?」
「お前に見られないところで全員がこっそりと。また誰かさらってきてやれなくて悪かったな」
「それは絶対にやめろ」

真面目な顔でクイルが睨むがあのクリスマスプレゼントの時のぶち切れ具合は正直面白かった。逆にクイルの祖父を先に見つけて連れてくる案もあったが、もし生きていても流石に心臓が持たなさそうとのことで見送りになったのが残念だ。

「お前も明日地球に行くんだから同時に帰らせられて都合がいい」
「そういう問題じゃない。ったく、最終日までこんなこと言わせるなよ」
「その方がらしいだろ」
「地球にまで悪評が届いたりしたら俺がアベンジャーズの奴らから睨まれて気まずい思いをする可能性があるから頼むぞ」
「それ最高に面白そうだから採用な」
「おい!」

最後までこんな風にクイルをからかいつつ送り出そうと決めていた。リーダーになるのが不安なんていうオレの懸念は自分がどうにかするべきであって共有するものではない。クイルはオレを呆れた顔で見つつもグラスに酒を注いだので取ろうとすると手で止められた。

「なんだよ」
「継承式するって言ったろ」
「グラス一つなのもそういう意味か」
「ああ」

クイルがグラスを持ちそのままオレをじっと見つめた。無言で見つめられると不安を見透かされそうで少し居心地が悪い。そのまま待っているとクイルが口火を切った。

「ロケット、チームを頼んだぞ」
「オレで良かったのかよ」
「なんだかんだ、帰属意識というかチームへの執着が強いのはロケットだと思ってる。……だが、前までのロケットだったら頼まなかったかもしれないな」
「理由は?」
「助けが必要な人が居て、助けようとするのに仲間を危険に晒す可能性が有る場合、リーダーとして助けない判断をすると思った」

ズンとその言葉がオレに突き刺さる感覚がする。自分で色男を名乗るだけあって、こういうところは勘がいい。変にごまかしていない真正面からの物言いにオレの心の底に溜まっている思いが溢れてくる。……確かにオレは人助けをしたくてガーディアンズに居たわけじゃなかった。

「……オレがここまでガーディアンズに居たのは家族と居場所を守るためだった。別に人助けしたかったわけじゃない、お前らを守ってたら結果としてそうなってたってだけで」
「でもアイツを殺さず生かしたし、動物も助けた。……変わったよな」
「一日でずいぶんと評価してもらったようでなによりだ」

見透かされたようなことを言われて口が勝手に茶化そうとする。それを聞いたクイルは少し遠い目をした。

「そういう素直じゃないところ、誰かさんにそっくりだ」
「その誰かさんみたいなリーダーになれると良いが」
「とりあえず操縦席に可愛い人形置くことから始めるか?」
「唯一真似したくないところだな」

操縦席に物を置いておくと衝撃で転がって操縦桿の隙間に挟まったりボタンが誤作動しそうで置きたくない。

「操縦の安全性からもそうしてくれ。……ロケットの疑問が解消されたなら続けるぞ」
「オレが止めてた扱いなのかよ。さっさと続けろよな」
「……今日を持って、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのリーダーはロケットだ。家族を、チームを頼んだ」

そう告げてクイルはグラスを半分だけ飲み干してこちらに渡してきた。オレを真っすぐ見据えるその視線が痛い。これを飲んだらリーダーになると思うと簡単に口に運ぶことが出来ない。何事も無く進行させて見送ろうと思っていたのに、心の奥に引っかかっているものがそれを拒んでいる。

「オレはリーダーの器じゃない」

そう吐き捨てるように呟く。それを聞いたクイルは少し困った顔をした。捨てられるために生まれ、ずっと居場所を探していたのにいざそれが手に入りかけたら守りきれる自信もなく、失うのが怖くて自分から捨てようとする、そんな臆病な自分が嫌いだった。

「自分がリーダーの器だなんて自負してるやつの方が少ない。俺だって思ってた」
「でもリーダーとしての意識持ってただろ」
「ロナン倒した後ぐらいだと俺がしきらなきゃドラックスもロケットも何するか分からないから監督役的な気分だった。あの時のロケットは故意に嫌な奴になろうとしてたしな」
「そこを掘り返すのやめろ」

それに関してはオレが100%悪いので何も言えなくなる。数多い過ちの中でも一番悪手だった。

「そのことについてちゃんと話し合えばよかったと思う」
「お前が歩み寄ってきても多分逃げてた」
「それでもロケットが逃げようとしたことは分かる。あの時の俺は意図すら分かってなかった」
「そもそもオレも迷ってたから意図なんて測りようがねえぞ」

折角手に入れた居場所を自分から捨てることが出来なくて自分からチームを抜けることもせず、向こうから切ってもらえるようリーダーであるクイルに嫌われようとしていただけ。物凄く中途半端で意味のないことをしていたと自分でも思う。

「今回のことでロケットの昔のことを少しだけ知って、俺の中では納得がいった」
「隠してて悪かったな。細かいことは言わずともオレの製造場所位伝えておけば多少はスムーズにことが運んだだろうに」
「製造場所だなんて言うな。ロケットは物じゃない」
「悪い、言い方間違えた。実際の生まれ故郷は地球と知ってあそこはオレにとって何かと考えたら製造場所って思っただけで卑下したわけじゃない」
「そうだとしても製造場所は不適当だろ」

オレはもうわりとどうでもいいのになぜかクイルがむっとした顔をする。出会った直後の背中の改造痕を見られたときにもオレに同情していたようだったし、本当にお人よしだと思う。でもそんなくせしてやるときになれば仲間の命も賭けて死地に臨むようなことも出来る強い意志を持っている。オレはそんなクイルに――。

「そんなことはさておき、言っておきたいことがある。オレは伝説のアウトロー、スターロードのファンだ」
「伝説のアウトローの部分、俺以外が言ってるの初めて聞いた」

オレがクイルをからかっているのかと思ったのか、クイルが笑うがオレが真面目な顔のままなのを見て何か察したのか向こうも真面目な顔をした。

「そりゃ今ではガーディアンズは家族だが、キルンで捕まった時とかロナン倒したあとすぐにそんなこと思ってたわけじゃない。オレが付いていったのは単純にお前に憧れてたからだ」
「……初めて聞いた」
「初めて言った。言ったからには数年間はこっぱずかしくて顔合わせられねえからすぐに帰ってくんじゃねえぞ」
「俺が帰れなくなる理由を作るな。正直そんな風に思って貰えるようなふるまいをした覚えがないんだが」
「なら、オレはそういった意識をしていない等身大のお前に憧れてるってことになるな」

クイルが特に思い浮かばないと言うが、つまりそれはクイルにとってそれは取り立てて挙げることではないということであり、自然体ということとなる。それを告げると流石にクイルも面食らった顔をした後、顔を手で押さえて伏せた。こっちもめちゃくちゃ恥ずかしいが、なんとか同じ傷を負わせるのに成功したようだ。

「あの、さ。俺も顔合わせるのに時間欲しいかも」
「オレは10年くらい会いたくなくなったところだ」
「生きてる間は恥ずかしいから会いたくないって言われる前に終わらせよう。さっさとそれ飲み干してくれ」

クイルが顔を上げ、まだ手に持っていたグラスを指さしてきたので弱音を吐くのは最後にしようと思う。

「正直、リーダーの座はオレにとっては凄く重い。……けどピート、お前がオレを信じてくれるのならそれに報いると誓う」

家族である皆から自分は自分のままでいてもいいのだと肯定できる理由を貰えて、嫌いだった自分を好きにも、誇りにも思えるようにもなった。……そういった優しさが怖くて目を背けていたオレをヨンドゥが叱ってくれなかったらここに辿り着けてはいなかっただろう。その息子にも等しく、オレの憧れのスターロードからの信頼、それがあればきっとどこにだって飛んでいける。

「ああ、信じてる」

オレを真っすぐに見つめてクイルがそう言う。オレはそのまま手に持っていたグラスを口に運んで残っていた酒を飲み干してグラスを机の上に置く。それを見ていたクイルが頷く。

「これをもって、リーダー継承完了だ。……ロケットをリーダーに選んでよかったと思ってる」
「それはお前がチームに戻ってきてから判断しろ。んで、明日の朝、酔いが醒めた状態でお前を見たら多分恥ずかしくて殺してしまうからオレが起きるまでにはクラグリンか誰かに地球に運んでもらっとけ」
「ちゃんと数年で顔合わせられるようになるんだろうな……?」
「オレの前に立つときは念のため防弾シールドとか用意して来いよ」
「同じように酔ってるときにしれっと戻るさ」
「まあ、それでもいいが」

もしオレが皆と同じ、人間だったのならこの憧れは別の呼び方の感情になっていたのかもしれない。人間じゃなくて良かったと思う気持ちと、人間だったらと思う気持ちの両方がオレの中でまぜこぜになっている。クイルの居ない間に消えてくれと願いながら席を立って出ていく準備をする。

「じゃあ、オレはもう出るぞ」
「ロケット」
「まだ何かあんのか?」
「五年間一緒に居られなかったのに、埋め合わせする間も無く離れてしまうことになってごめん」

サノスに消されていた五年間のことはオレはあえて触れずにいて、クイルも触れてこなかった。もしクイルが戻ってこなかったとしても責めることは出来ない。その謝罪によってクイルと別れた後に頭を巡っていた考えが再びオレの思考を支配する。行かないで欲しいなんて言葉を吐き出してしまいそうになる。

「今さらそこに触れんのかよ、生きてるかもしれない親族が居るなら会わない理由もないだろ。こっちのことは気にすんな」

なんとか振り払って送り出すための言葉を言う。もし、これが今生の別れになるとしてもオレはクイルを止めるべきではない。そう思って精一杯強がった表情を作る。クイルはそんなオレをまっすぐ見据えていた。

「サノスに消された俺たちが戻ると信じて行動してくれていたって聞いて嬉しかった。その反面、俺たちがチームとして活動してたより長い時間が経ってたことは、悲しかった。……絶対に帰ってくる。そしてガーディアンズから、家族から離れないと俺も誓う。もう少しだけ待っててくれ」

クイルのガーディアンズから離れないという誓いに感情が抑えきれそうになかったので顔を見られないよう後ろを向いてそのまま扉の前まで歩いていく。

「そのつもりなら地球でも筋トレくらいはしとけよ。ぽっちゃりしてたらその腹に蹴り入れてやる」
「肉体美を見せつけてやるから楽しみにしてろよ」
「ドラックスと比べたらどうあがいてもヒョロく見えるだろうが一応期待しとく。まあ、達者でな」
「ロケットこそ。何かあったら連絡はくれよ」
「ああ。……おやすみ」
「おやすみ、ロケット」

扉に手を掛け外に出て誰にも顔を見られないよう速やかに自分の住みかまで戻る。なんだかんだクイルは約束を守る男だ。ああ言ったからには戻ってくるだろう。つまり、オレの使命はいつ戻ってきてもいいようにガーディアンズを守ることだ。やることが山積み過ぎて何から手を付けるか悩むが、とりあえず今は寝ようとベッドに寝転ぶ。寝て起きたらもう居なくなっているのだろう。

「またな、スターロード」

そう呟いて目を閉じる。もう、不安はどこかに行ってしまっていた。

bottom of page